集団随伴性
集団随伴性対象児と仲間の行動によって、その集団に強化を与える操作を行う方法とは、ある特定の行動に対する強化が、集団内の代表メンバー、または全員の遂行に応じて集団に与えられることをいいます。集団随伴性の例としては団体競技の駅伝(みんなががんばればメダルという強化が与えられる)が挙げられます。
集団随伴性は、集団の誰の遂行によって強化が決定されるのかという観点から、相互依存型、依存型に分けられます。
集団随伴性の有用性
- 同時に複数の対象者の行動を扱うことが可能
- 自己の強化が他者の行動に影響を受けるという性質により、援助的な行動(仲間を励ます、プロンプトを与える、など)が出現するといった副次的効果が期待できる
注意すべきこと
強化基準の達成を目指すあまり、集団内でプレッシャーや避難などの圧力を受けるメンバーが生じる場合があります。これは集団随伴性のネガティヴな副次的効果です。これを防ぐため、集団内のメンバーに確実に標的行動を遂行する能力があることを確認しておく必要があります。
相互依存型集団随伴性を用いた指導
1. お絵かきリレー
2名以上の集団で行います。順番が回ってきた子どもに、カードが渡されます。カードには絵(見本)が描いてあります。その子が描くべき部分は赤いペンで描いてあります。カードを見ながら、ホワイトボードの黒い枠内の、未完成の絵に描き足します。描けたら、ペンとカードをMTに渡します。MTから、次の人に渡すカードを受け取ります。カードには次の人の名前とその人が描く部分が描かれています。次の人に「お願いします」と言ってカードを渡します。このようにしてリレー形式でひとつの絵を描いていきます。絵が完成すると、絵に関する曲をみんなで聞くことができます。
この活動では、集団のメンバー全員が見本通りに描いていくことによって、ひとつの絵が完成し、さらに絵に関する曲をみんなで聞くという強化が与えられる、相互依存型の集団随伴性を用いています。
この活動を行う際は、集団のメンバーに応じて描く部分の複雑さを調整する必要があります。また、発展として、ホワイトボードではなく大きな紙に描き、色塗りまで行うことも可能です。
2. そらからキャッチ
ペアがいくつかできる集団で行います。ペアは「かご係」「メガホン係」に分けます(ビデオでは6名の集団が3つのペアに分かれています)。「メガホン係が落ちてくる袋の色をセラピストに訊き、メガホンで「かご係に教えます。「かご係が時間内に袋をキャッチします。袋にはパズルのピースがひとつ入っているので、成功する度にパズルが完成に近づきます。
活動のねらいは、集団内のメンバーが、相手に尋ねる、訊いたことを教える、教えられたとおりに素早く動いてキャッチする、ほかのメンバーの活動に注目するといったことです。
みのりん